百田尚樹『殉愛』の読み方

エピローグはくれぐれも最後に読むようにしましょう。

日曜日の関西のお茶の間では、だいたい「たかじんのそこまで言って委員会」のテレビがついている。ネット機器で録画データを扱うときも、同じタイトルをよく目にする。関西人はあまりドラマの話をしても盛り上がらない。だが、「たかじんの番組だけ見ているよ」と言われたことが何度もある。それぐらい有名なやしきたかじんでしたが、その最後の闘病記?いや恋愛本が今朝、発売されました。

あの『永遠のゼロ』の著者で有名な百田尚樹さんがノンフィクションで執筆されています。『殉愛』というタイトルだけでは、やしきたかじんを連想しづらいのですが、帯を見れば一目瞭然です。さっそく本屋に買いに行き、一日で読み終わろうと思っていたのですが、けっこう読み応えがあり、じっくり読まなきゃもったいなく感じ、読み終えたころには日をまたいでしまいました。さっそく忘れないうちに文献解題してみます。

まず、構成ですが、基本的にはたかじん夫妻を時系列で追っていく流れです。最初が一番おもしろかったです。2人のくっつき方がかなりドラマちっく。まったく違う世界に生きる男女が、損得や世間体を捨てて一緒になる流れは、やがて死にゆくたかじんを知ってる読者には、切なくて涙を誘います。

でも、中盤は闘病描写が長すぎて若干疲れます。病状の変化もたかじんが復帰時にネタにしていた事実をなぞる箇所は新鮮さに欠けました。あと、僕にとっては、浮気も甲斐性という側面が連発されすぎていて、奥様のかわいそうさがその部分に埋もれてしまいました。本当のかわいそうさは、マスコミによるバッシングとか、マネージャーのいい加減さ、実娘の非情さなどによる部分なんでしょうが。

TV業界発の各局の連携プレイ はお見事。今なお続いているたかじんの3つの番組は、こういう経緯で足並みを揃えていたのか、と思うと敵同士が手を握り合っていたこと自体に感動しました。

最後は、晩年ずっと甘えん坊ぽく描かれていたたたかじんが、大阪市に寄付してもよいかと尋ねるシーンはカッコいいし、たかじん他界のあとは、言われた指示を即座にこなす奥様もカッコよかった。これで終わりかと思ってエピローグをめくると…

オチはこっちだったのか、と思い知らされました。思えば、最初から敵と味方がはっきりわかりやすく描かれていた作品だったなと、結末後の結論に納得です。
でも、 エピローグはくれぐれも最後に読むようにしましょう。本編がおもしろくなくなると思いますよ。