娘のひさよは生来体が弱く、かぜをひいては困っていたが、十歳のころ、ついに、ぜいたん(ぜんそく)持ちになった。讃岐に灸の名人がいることを人づてに聞き、娘を連れて灸点をおろしてもらいに行った。その時、大小二十も点をおろし、帰ってからも、毎日五つずつすえるのであった。すえられる娘も、すえる私も、つらくて泣き泣きすえていた。
(2)そのころ、家で織った白木綿を買ってくれる婆さんが、大谷に金光様というありがたい生神様があって、どんなことでもおかげがいただけるという話をしてくれ、私は、その翌日すぐに金光様のお広前にお参りをした。(3)すると、金光様は、
「一心になればおかげがいただける。子供の体に火をつけるということがあるものか」
と教えてくださった。(4)私は、艾など、お灸の道具を川に捨て、毎日三里の道をはだしでお参りした。だんだんと娘もおかげをいただき、十日後には一緒にお参りができるようになった。