明治十年の秋近くなったころ御本社オンモトヤシロへ参拝した時、金光様はご一身のことをあれこれと物語って聞かせてくださった。中でも七墓を築かれたことを伺った時には、感無量の思いがした。
(2)その時、ちょうど参り合わせていた備前の人が、お包みを供えて取次を請うた。金光様はそれに手を触れようとされず、
「これは持って帰れ」
と仰せられ、そのまま神前に進んでご祈念に入られた。(3)ほどなく、顔を赤らめて、
「神に供える物を何と心得ているのか。神は取り捨てにはしない。一粒万倍にして返してやる。惜しいと思って供えてはならない」
と仰せられ、(4)振り向いて、
「卯の年の氏子(福嶋儀兵衛)、そうではないか。神あっての氏子、氏子あっての神であるからな」
と言われた後、お机にもどられて先の話を続けられた。