文久元年十月三日、大本社に参拝し、「私の母子の年の女が、まことに大病で腹が苦り、困難いたしております。私はこれまでは黒住宗忠大明神の門人でございますが、どうしても今度の母の病気は全快いたしませんので、今日ははじめて参拝をいたしました。なにとぞおかげをいただかせてくださいますよう」とお願いした。(2)その時に、金光様は、
「これから私がご祈念して、お知らせをいただいて言うから、お前は何も言わずにおられよ」
と仰せられ、(3)それからご祈念くださって、
「その方の家には、前に七間か八間かの土壁がある。その土壁のある右手に柳の大木がある。その柳から上カミ、戌亥の方角に五間か六間かの長屋がある。また、辰の方角に道がある。丑寅の方角に倉庫がある。その倉の上手にさしかけがある。そのわきに、ゆずの木がある。その倉の下手に牛小屋がある。その立ち木、建物とも、金神のお気障りになっている。それゆえ子の年女の病気はできている。(4)その方はこれまでは黒住宗忠大明神の信者であるが、この度から此方を信仰してくるからには、子の年の病は必ず全快いたすであろう。その方くらいの信仰者、此方の力になる氏子は、まだ来ない。頼りになる氏子である。今、神が言ったことが違うか。違っていたら、再び来るな。よく合っていたら、信仰してこい。
(5)子の年は、志加は、もう大谷へ参り着いているであろうかという時分から、苦りが落ち着いている。帰ってたずねてみよ。氏子、神が今言ったことは違うか、どうであるか」
(6)「さようでございます。前に八間ほどの土壁がありまして、その壁のある右手に柳の大木があります。その柳から戌亥の方角に五間半ほどの長屋があります。また、丑寅の方角に倉庫があります。その下手に牛小屋があります。その倉の上手にさしかけがあります。そのわきに、ゆずの木があります。辰の方角に道があります。まことに恐れ入ります」
(7)「では、今言ったとおり神徳を授けてやる」
とのご神言をいただいて、帰ってたずねると、病人は、ちょうど、志加はもう大谷へ行き着いて参詣しておろうという時分から苦りが落ち着いており、先刻ご飯を食べて、今は休んでいるということであった。(8)その翌日、さっそくお礼参りをした。すると、
「氏子、どうであるか」
「ありがとう存じます。仰せのとおり、ご神徳をいただいております」
「それなら、必ず全快さしてやる。信心をせよ。此方の力になる氏子と思うから、力を入れてやる」
とのご神言で、その後さっそく病は全快した。(9)すると、
「その方は、これからは、この神を祈って人を助けてやるがよい」
と仰せになり、それからお取次をいたしておると、村内の悪人のひき入れで、悪人どもがぐずりをしかけて来て、お広前の供え物を、いっさい取りかたづけて持ち帰った。(10)そこで、さっそく大本社に参詣し、「恐れながら、金光様、今日はかようかようなことで悪人が来まして、お広前の供え物を、みな持って帰りました。この後は、いかがいたしましたらよろしゅうございましょうか」とおたずねすると、金光様は、
「うちにも今日は、みな取られてしまった。みな取られてしまっても、惜しいとは思うな。みな取られたら、壁を目当てに拝め。神は一粒万倍にしてやる。今信心をやめると、神は取りぎりにするぞ」
と、このように仰せられた。