理2・山本定次郎・1

弟伊平を出産した時から、母が血の道で足が立たなくなり、そのことで、父は日柄方位を見てもらったり、祈念祈祷を諸所の山伏修験者にしてもらったりしたが、治らずに困っていた。ある人から、大谷の金光様にお願いすれば、すぐにおかげがいただけると言われ、元治元年に金光様のもとへお参りした。(2)お願いすると、
「その方の家は南向きで、家の横から裏へあがると、人の通り道があり、家の所から曲がり道になっている。この度の出産についても、方位を見てもらい、三度も後産を埋めかえた。神様を頼むことを知らない者は、どうにもならない。神様の留守をねらうことばかり考えだして、うろたえている。留守をねらう心を改めないと、おかげは受けられない。
(3)隣三軒は京の子にもかえなと、ことわざにもいう。その隣同士でも留守ばかりをねらうと、つまらないことになる。仲よくしようと思えば、隣から何か貸してもらおうという時には、前夜から頼んでおけば快く貸してくれる。それを留守をねらって勝手に持ち出すと、小言が出る。
(4)今度のことも、天地の神を頼むという心になり、金光大神の手続きをもって頼むと言えば、自由自在におかげが受けられる。天地の神の氏子であるから、あなたも私も同じこと、神様から直々におかげが受けられる」
と教えられた。(5)父が「おかげはどのようにしたら受けられますか」と押して金光様にお伺いすると、
「それは別にむずかしくはない。神様が母親の胎内に氏子をお与えくださり、当たり前の人間にお造りくださるといううのが、神様のお恵みである。お産のために足が立たなくなるということはない。懐妊したら神様におすがりし、日々食べる物をありがたくいただいておれば、お産をしても、足が立たないようなことにはならない。(6)これからは、神様に一心におすがりしていくがよい。方位方角に迷い、神様のご地内に忌み汚れなどと言って、ご無礼をしてはならない。ご地内にできた物をありがたくいただいておれば、心配はない。心配する心で信心をすれば、楽におかげが受けられる」
と、こまごまと教えられた。
(6)私は、父からこのような金光様のみ教えを伝え聞いて、常々、どうして五里もへだてた所の建物、道、方角のことなど金光様に知れるのか、不思議に思っていた。(8)ある日そのことをお伺いすると、金光様は、
「目をあけてみると、目に見えることしかわからない。目を閉じて願っておれば、神様が心に知らせてくださる。以前に、その方の家のことを言ったことが、よく合っていたということであるが、私は目を閉じて、じっと願って心に浮かんだことを言っただけである。神様がお知らせくださったのである。あなた方でも、真の心になってお願いすれば知らせていただける。
(9)人はいろいろと言うであろうが、金光大神は、ほかほかの神々のように使わしめを使うのではない。神様の教えを受け、おかげを受けているのであるから、みんなも、そのおかげを受けるという気になれば、同じように受けられる。
(10)神様には遠い近いはない。稲木と大谷とで、天地に違いはない。神様は満ちわたっておられるから、心を改めれば改めるほど、神様から尊いおかげがいただける。疑いは去ってしまって信心しなければならない。
(11)信心しているからといっても、みんなの身の上のことが何もかも同じになるとはいかない。あなたは山の中の人であるそうだが、山の木が三十年たっている、五十年たっているといっても、同じような木ばかりはない。ある人は信心しないのに分限者になることもあるし、信心してもなれないということもある。米麦を作っても、白穂もできるし黒穂もできる。そのように、全部同じようにとはいかないので、心を広く持って信心していなければならない。
(12)神様が、あなたの父親にそれほどに教えをなさったことがあるのは、よほど、家相方位に心を曇らしたその方の家のことが、み心にかなわなかったのであろう」
と教えてくださった。

  1. 理3・内伝・13

  2. 理3・内伝・12

  3. 理3・内伝・11

  4. 理3・内伝・10

  5. 理3・内伝・9

  1. ご伝記 金光大神(昭和28年刊行版)

  1. 登録されている記事はございません。
今月のイベント
2026年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
アーカイブ