一つ、寿命なき者には寿命お授けくださるなり。(2)それに、当世の人、六十くらいになると先ぐりをして、頭を丸めて隠居姿になり、また多き中には、死ねばくつろぐに、お迎えが来らぬなど、わが身として覚悟をし、命を縮めるようのこと申す。愚かならずや。死なねばくつろげぬくらいの人なら、後世ゴセ(死後)とても、安楽のほど、おぼつかなし。(3)くつろぐ考えでいたすことが自業自得、不慮に死する者嘆き悲しみ、祟ることあるを見て、よくわきまうべし。
(4)改めて生くる覚悟をし、六十七十はさておき、八十九十にも限らず長命する気になり、陰気を廃し陽気を含み、朝は日天四様に起き負けず、時のはやりかぜ、何病気にも、のまれぬよう押し勝つべし。(5)善事を尽くし、ご信心なる時は、死なぬうち、目前におかげを受けてくつろぎ、その身ばかりか子々孫々末代にいたるまでくつろぐなり。